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竹内歯科医院 デンタルメモ№30
「口腔(こうくう)がん」
こんにちは。ご存知のように、さる5月30日に元大関貴乃花である二子山親方が「口腔底がん」で亡くなられました。口腔底がんといわれてもピンとこない方が多いと思いますが、これは口の中にできるがん「口腔がん」の一種です。そこで今回は「口腔がん」についてお話したいと思います。
[口腔がんとは?]
口の中にできるがんを「口腔がん」と言います。この中には舌がん(舌のがん)、口腔底がん(舌と歯ぐきの間にできるがん)、歯肉がん(歯ぐきのがん)、頬粘膜がん(頬の内側の粘膜にできるがん)、硬口蓋がん(口中の上あごにできるがん)などがあります。
この中で最も多いのは舌がんで約半数を占めます。ただし、口腔がんはがん全体の1~2%に過ぎません。ですから歯医者さんでも、口腔がんに一度も遭遇したことのない先生も少なからずいます。私も口腔がんに出会ったのは2ケースのみで、比較的珍しいがんといえるでしょう。
[危険因子]
口腔粘膜への慢性的な刺激がよくないと考えられます。歯が欠けていたり、義歯があってなくて舌や歯肉を常に刺激している場合、口の中が不衛生な場合にもリスクは増大します。また、お酒やタバコも大きな危険因子といえます。
[症状]
一般的には初期のがんでは痛みや出血などはなく、硬いしこりが触れるのみの場合が多いです。勘違いしやすいものとして、上あごや下の歯ぐきの内側に硬いものが触れることがよくありますが、これは正常な骨の突起の場合が多いです。また軟らかいしこりは悪性の可能性は低いと考えていいでしょう。なかなか治らない口内炎の場合も注意が必要です。
(口内炎は、通常1~2週間で治ります。)
[治療、治癒率]
ほとんど全ての口腔がんで手術治療が必要となります。早期のがんでは手術単独で治療できる場合もありますが、進行したがんになると一般のがん同様、手術に放射線治療や抗がん剤を組み合わせた治療になります。後遺症は進行の度合いやできた場所によって異なりますが、言葉や食事に悪影響が出る場合もあります。
治癒率はがんの大きさや進行の度合いによってかなり差があるようですが、本当の初期であれば5年生存率が70~80%あるようです。
[ポイント]
口の中に異常を感じ1~2週間経っても直らない場合、痛みがなくてもまず内科、耳鼻科、歯科等で早めに診てもらうことが大切です。悪性の疑いがある場合は病院に依頼し、組織の一部を切り取る病理検査を行い診断してもらいます。
ただ前述したように、口腔がんは比較的少ないがんです。ほとんどの場合はむし歯や歯周病に由来するものか口内炎です。決して一人で悩んだり思い込んだりしないよう、よろしくお願いします。