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竹内歯科医院 デンタルメモ№50
「がん治療に対する口腔(こうくう)ケア」
こんにちは (^^)v
がん治療の副作用として、髪の毛が抜けたり、吐き気がしたり、全身がだるくなったりすることは、よくご存じだと思います。このような副作用のひとつに、口の中の炎症があります。この口の中の炎症を予防するためには、口腔ケアが大変有効となります。そこで今回は「がん治療に対する口腔ケア」について、お話したいと思います。
がん治療による口腔内の副作用
ご存知のように、がんは日本人の死因で第1位の病気で、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんになると言われています。現在、がん治療の進歩は著しく、がん患者の約6割の方が治癒するそうです。一昔前までには考えられなかったことですよね。
しかし、がん治療による副作用が全く無くなったわけではありません。
米国のある調査によると、抗がん剤治療を受けた患者さん10人のうち4人に、口腔内に副作用がありました。また、首から頭にかけての範囲にがんができた患者さん10人に放射線治療を行ったところ、全員が口腔内に副作用が現れたそうです。
一般的によく起こるのは、歯周病により歯ぐきが腫れたりすることですが、歯周病ではなく口の中全体の粘膜から出血したり、ひどくなると痛みが強くて、口からほとんど食事を取ることができなくなることもあります。そうなると、さらに全身の抵抗力が低下し、感染症が起こりやすく、中にはがん治療そのものを変更せざるを得ない場合もあります。
がん治療前の口腔ケア
前述したように、がん治療による副作用のひとつとして、口の中の炎症があります。さらに口の中が非衛生的であると、口腔内の副作用ができやすいだけではなく、口の中の細菌が全身に広がり感染症を引き起こしやすくなります。
このようなことから、アメリカではすでに、がん治療を受ける前に歯科的なチェックを済ませるよう、患者さんに指導しているようです。残念ながら、日本ではまだまだ普及していませんが、最近はこのような考え方が少しずつ浸透し始め、実施している病院では口腔内の副作用だけではなく、全身における感染症も軽減させているといわれています。
がん治療を開始する前には、歯科を受診してむし歯や歯周病のない環境にしておくことがもっとも大切です。また、治療中も口の中を清潔にするよう心がけ、1ヵ月に1回程度は歯科医院でクリーニングすることをお勧めします。
このような口腔ケアはがん患者さんだけではなく、全身の抵抗力が落ちている介護を必要とする高齢者にとっても有用であると考えます。また、次の機会にお話したいと思います。
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