デンタルメモ66 BP製剤|竹内じゅんぺー歯科|神戸市灘区六甲の歯科・歯医者

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デンタルメモ66 BP製剤


「ビスホスホネート系薬剤と歯科治療」

こんにちは。近年、骨粗しょう症の治療薬としてビスホスホネート(以下BP)系薬剤を処方されることが多くなっています。その時、通常「歯科治療を受けるとき、服用していることを言ってください。」と説明されます。これはBP系薬剤による治療中、抜歯などの外科処置や口腔内の不衛生などの条件が重なった場合、あごの骨に炎症が生じ、さらに顎骨壊死が起こることがあるからです。ただし、このような副作用は、まれなもので、必ず起こるというものではありません。

そこで今回は、正しい知識を持っていただき、お口の健康を維持するために「BP系薬剤と歯科治療」について、お話ししたいと思います。

(参考文献:BP系薬剤投与患者への対応  日本歯科医師会作成)

 

  • BP系薬剤とは? わが国ではBP系薬剤としては経口薬と注射薬が承認されています。経口薬は主に
    • 骨粗鬆症の治療に、注射薬は主に①悪性腫瘍の骨への転移、②悪性腫瘍による高カルシウム血症の治療に用いられています。
    • BPは水道管の水垢取りや歯磨剤に歯石予防等の目的で用いられていたピロリン酸の類似物質です。BPは破骨細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制し、骨量の増加および骨折予防効果を発揮する骨疾患の治療薬として利用されるようになりました。
  • 顎骨壊死とは?
    • 顎骨壊死とは、あごの骨の組織や細胞が局所的に死滅し、骨が腐った状態になることです。あごの骨が腐ると、口の中に生息する細菌による感染が起こり、あごの痛み、腫れ、膿が出るなどの症状が出現します。
  • 顎骨壊死の発生頻度は? 顎骨壊死は一度発症すると完全に治すのは困難です。BP系薬剤による治療中、リスクを完全にゼロにすることはできませんが、減少させることはできます。経口用BP系薬剤を3年以上服用されている方や注射用BP系薬剤を受けている方はハイリスクなので、骨に侵襲のある抜歯等は避けた方が良いでしょう。しかし、歯周病でグラグラの歯などの抜歯は骨に侵襲はほとんどありませんから、可能です。もちろん通常の治療は全く問題ありません。お口の中は約500種類の細菌が生息していますので、BP系薬剤以外の抗がん治療を受けている方や抵抗力が落ちている方なども定期的な口腔ケアが必要でしょう。
  • 顎骨壊死は口の中が不衛生な状態において、より発生しやすくなります。したがってBP系薬剤による治療を受けている方は、治療を受けていない方以上に定期的に歯科を受診し、歯石除去など口腔ケアを積極的に行うことが大事となってきます。
  • ◆ 安全に治療するためには!!
  • わが国における発生頻度は明らかではありませんが、経口薬と比較して注射薬で発生しやすいと考えられています。海外での報告では、経口薬で0.01~0.04%程度で、注射薬で0.8~12%と、報告されている発生頻度に幅があります。また、顎骨壊死は下顎骨に起こりやすく、上顎骨の2倍の頻度で発生すると言われています。