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© Junpei Takeuchi Dental Clinic
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「抗血栓薬と歯科治療」
こんにちは。前回は心臓病についてお話ししましたが、心臓病によく使われるお薬に「血液をサラサラにするお薬」抗血栓薬があります。竹内歯科にも抗血栓薬を服用されている患者さんがたくさんおられますが、歯を抜くときなどは血が止まりにくくなりますので、「薬を止めたほうがよいのか?」と相談されることがあります。そこで今回は「抗血栓薬と歯科治療」についてお話ししたいと思います。
(参考文献:循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン)
◆日本の現状
現在、日本は超高齢化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞に代表される血栓性疾患が増えており、抗血栓薬である抗血小板薬(バイアスピリンなど)を服用されている方が100万人、抗凝固薬(ワーファリンなど)を服用されている方が300万人とも言われています。
こういった患者さんに抜歯等の観血的処置を行う場合、以前は休薬するというのが医療関係者の常識でした。患者さんもよく分かっていて「抜歯するから3日前から
薬を止めているよ」と言われる方もいます。慶応大学口腔外科で医師にアンケートを行ったところ、7割以上のドクターが休薬すると答えています。また歯科医側でも「出血が止まらない」ことを理由に、休薬を要望する声が多いのも事実です。
しかし、最近では抗血栓薬を休薬するリスクが指摘されています。また、通常の抜歯では適切な止血処置を行えば、休薬する必要がないこともわかってきました。
米国の調査で、ワーファリンを休薬した493例・542回の抜歯のうち、約1%に血栓塞栓症が起こり、そのうち80%が死亡したという報告があります。つまり抜歯時の休薬によっておこるリスクは低いが、発症した場合重篤な症状を引き起こすということです。こうした点から、日本循環器学会の抗凝固・抗血小板療法に関するガイドラインでは「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」と明記されています。
一番大事なことは、自己判断で決して薬を止めないことです。そして医師と歯科医師がしっかり連携していけば、抗血栓療法中の患者さんでも安全に抜歯することが可能だと思います。