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竹内歯科医院 デンタルメモ№82
「人は、口から老いる!?」
こんにちは。人生90年とも100年とも言われるようになりました。しかし、長く健康を維持していく事に不安を感じる方も多いのではないでしょうか?最近の研究で、「お口の健康」が高齢者の健康に大きく関与していることが分かってきました。では、どのようなことを心掛けていけばよいのでしょうか?そこで今回は、長寿に関係するキーワード、「フレイル」と「オーラルフレイル」についてお話ししたいと思います。 (参照:ニッセイ基礎研究所)
「フレイル」とは、日本語では「虚弱」と言います。加齢に従って徐々に心身の機能が低下していく事を表した比較的新しい概念です。簡単に言えば、足腰が弱ったりして「要介護」の一歩手前の状態です(下図参照)。この「フレイル」の最大の要因は筋肉の力が落ちていく事です。筋力が落ちると、身体機能が低下して活動が少なくなり、食欲も減り低栄養や体重減少が進むといった負の連鎖がもたらされます。そのために中年期を過ぎたら、歩くあるいはスクワット等で足腰を鍛えるなどして、筋力の低下を遅らせることが「フレイル」になる時期を遅らせることに繋がります。
この筋力の低下に、「お口の健康」も深く関係していると言われています。
「オーラルフレイル」とは、「お口の機能の虚弱」のことです。飯島勝矢・東京大教授(老年医学)らが、約2000人の高齢者を約4年間追跡調査したところ、「オーラルフレイル」の人は死亡や要介護状態になるリスクが約2倍高かったという研究結果を発表しています。
加齢などの影響で口の機能が低下すると、食べこぼしたり、飲み込む時にむせたり、滑舌が悪くなります。硬いものは咬みづらく、柔らかい食べ物を選びがちになり、栄養が偏ります。食事そのものが面倒になる傾向もあるようです。咬合力の低下そのものが、下肢の運動機能低下や転倒の要因になるという研究結果もあります。
また、滑舌が悪くなるとコミュニケーションが取りづらくなり、人との交流を避けるようになります。その結果、家に閉じこもりがちな生活となり、筋力の低下を招き、「フレイル」になりやすいと言われています。
まとめ
「オーラルフレイル」は「フレイル」と一見関係ないようですが、「お口の機能低下」が起点となり、社会性の低下、生活範囲の縮小、精神性の低下、低栄養、身体機能の低下をもたらし、要介護状態になりやすくなります。齢(よわい)の語源は諸説ありますが、「人は、口から老いる。」と無関係ではありません。お口の衰えは、要介護の始まりです。 H30.7