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「肺炎予防と口腔ケア」
こんにちは。西田敏行さんが出演する肺炎予防のテレビCMをご存知ですか?
我が国の超高齢社会の進行に伴って、肺炎は悪性新生物(がん),心疾患に次いで死因の第3 位になりましたが、そのうち65 歳以上の高齢者の方が患者さんの95%以上を占めています。そこで、国が一部費用を負担して2014年10月から65歳以上の方を対象に、肺炎予防のための肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まりました。このワクチンも大変有効ですが、肺炎には口腔ケアも重要とされています。そこで今回は「肺炎予防と口腔ケア」についてお話ししたいと思います。 (参考文献:感染症 肺炎 日本呼吸器学会雑誌2(6)2013)
体の抵抗力が弱くなると細菌などに感染しやすくなり、細菌が肺に入り込むと肺炎を起こします。65歳以上の方で肺炎になった方の原因菌を調べると、およそ3割の方が肺炎球菌によるものです。高齢者の方は,かぜやインフルエンザなどのウイルス感染症の罹患後に肺炎球菌性肺炎にかかりやすく、重症化しやすいと言われています。
また、高齢になればなるほど肺炎全体に占める誤嚥性肺炎(後述)の頻度は高くなり,80 歳以上では約80%程度が誤嚥性肺炎とされています。
肺炎を予防するには以下のことが大切になります。
◆誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。この肺炎の特徴は、再発を繰り返すことがあり、それにより耐性菌が発生し抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあります。そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。
現在、誤嚥の予防には嚥下機能の改善と同じくらい、口腔ケアが重要であると考えられています。特別養護老人ホームで専門的口腔ケアを行った患者と行わなかった患者で比較すると、専門的口腔ケアを行った患者群は発熱者数、肺炎に罹患した人数および肺炎による死亡者数が、2 年間でいずれも約50%程度、有意に低下しました。口腔ケアで誤嚥が抑制されるわけではありませんが、口腔内の常在細菌量の減少が誤嚥による肺炎発症頻度を減少させたと思われます。
最近の日本医師会雑誌(平成26年6月号)で「日常診療に必要な口腔ケアの知識」を特集していました。その巻頭言をみますと、次のように書かれています。「近年、口腔ケアの疾病予防効果や全身健康の保持・増進効果の関するエビデンスが明らかになるにしたがって、口腔ケアの対象となる疾病も広がりを見せており、日常診療における口腔ケアの意義を再認識する必要性が高まっている。」 平成24年には、がんの患者さんに口腔ケアが保険で出来るようになりました。従来、むし歯や歯周病の予防と考えられていた口腔ケアも近年、その概念が大きく変わってきたようです。